プロセスエコノミーと知的財産権(前編)

最近、SNSやメディア等で「プロセスエコノミー」という言葉を聞くようになりました。
プロセスエコノミーとは一体どのようなものなのでしょうか?
また、あるビジネスが流行ると、それを模倣する後続者が現れるのは、世間の常です。
このような場合を想定して、自社のプロセスエコノミー活動を知的財産でどのように保護できるのでしょうか?

本記事の前半では、プロセスエコノミーについて解説していきます。

1.プロセスエコノミーとは?
「プロセスエコノミー」は、製品・サービスそのものではなく、それらを提供する過程に価値を見出す経済の形態です。従来の製品中心の経済と異なり、プロセスエコノミーでは、製品を購入するまでの体験、顧客体験、サービスの提供方法が重視されます。
顧客は、単に製品やサービスを購入するのではなく、購入・提供までの過程を楽しむことができます。
企業は、提供過程に価値を付加することで、他社との差別化を図ることができます。

<プロセスエコノミーの例>
(1)サブスクリプションモデル
 NetflixやSpotifyのようなストリーミングサービス。継続的なサービス提供を通じて、顧客は好きなコンテンツをいつでも楽しむことができます。企業は、顧客との関係を継続することができます。
(2)体験型イベント
 ポップアップストアでのイベントや、インタラクティブなワークショップ。顧客は、商品の購入体験を楽しむことができます。企業は、顧客との関係性を深めることができます。
 また、IKEAの自身で組み立てをする家具も、顧客に「家具の組み立て」という体験を提供していると言えます。
(3)カスタムサービス
 カスタムメイドの衣類、個人の好みに合わせて企画された旅行。顧客は、自身の好みに合わせて製品等をカスタマイズすることができます。企業は、個々の顧客の好みや要望という情報を入手できるとともに、企業や製品・サービスのファンを獲得しやすくなります。

2.プロセスエコノミーの強み
プロセスエコノミーの強み(企業のメリット)として、以下の点が挙げられます。
(1)高い顧客ロイヤリティ
 顧客は、製品・サービスとは別に、過程・体験という別の価値を享受することができるため、顧客の満足度とロイヤリティが向上します。
(2)差別化の促進
 独自の提供方法や体験の提供により、競合他社との差別化を図ることができます。
(3)継続的な収益
 サブスクリプションモデル等により、安定した収入と長期的な顧客関係を構築することができます。
(4)顧客のフィードバック活用
 顧客との直接的な関わり合いにより、顧客からのフィードバックを迅速に取り入れることができます。これにより、より効率的に、ニーズに合わせた製品・サービスの改善を行うことができます。

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